ブックタイトルザイエンス景観・公園施設カタログ1214版

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ザイエンス景観・公園施設カタログ1214版

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ザイエンス景観・公園施設カタログ1214版

2.木材の劣化木材の劣化には、腐朽、蟻害(虫害)、カビによる表面汚染、紫外線と風雨によるいわゆる風化などがあります。腐朽、蟻害(虫害)は、主に構造材の強度的な安全性にかかわるものであり、カビ及び風化は、主に美観にかかわる劣化です。2.1腐朽2.2蟻害、虫害1)腐朽菌と成育条件木材の経時的な劣化で、強度低下や破損などを起こす原因はほとんど腐朽であり、野外に設置された木材の耐久性を左右している。腐朽は主として担子菌類が木材を栄養源として繁殖することによって起きる。通常、木材腐朽菌と言えば担子菌を指す。担子菌類は、木材の中で綿状の菌糸の状態で活動しているが、ある時期に子実体とよばれるキノコを発生させる菌の仲間であり、サルノコシカケやシイタケもこの菌類の仲間である。木材腐朽菌は生物であり、繁殖するためには次に示す条件がそろわなければならない。逆説的には、これらの条件のどれか1つでも完全に断てば木材の腐朽は起こらず、これが木材を長持ちさせるポイントでもある。①栄養源としての木材菌は木材の成分を分解し、エネルギーとして利用している。②生理活性を助ける水一般に木材含水率が50%~100%において活性は最大となる。25%以下で発育が停止する。③酸素木材腐朽菌は好気性菌であり、生育には酸素を必要とする。④生育に適した温度低温菌(24℃以下)から高温菌(32℃以上)まで様々な温度を好むものがおり、通常の野外環境は多くの菌の生育に適した温度である。公園施設に使用された木材は、湿材害虫や乾材害虫の食害を受ける可能性はあるが、部分的な被害に留まり、施設を倒壊させたりするような例は少なく、被害の多くはシロアリによるものである。日本で多く被害をもたらしているシロアリの種類は、イエシロアリとヤマトシロアリの2種である。イエシロアリは関東以南の温暖な海岸地帯に生息し、100万頭に達するコロニーを形成し、発生した場合の被害は大きいが頻度は少ない。ヤマトシロアリはほぼ全国に分布し、1~3万頭のコロニーを形成し、発生した場合の被害は小さいが頻度は多い。イエシロアリの場合、水を運んで木材を湿らせて食害する例もあるが、一般に含水率が30%以上の木材を好んで食害する。特にヤマトシロアリは、生息に適する条件が腐朽菌と類似するため、食害と腐朽が同時進行する場合が多い。近年では、アメリカカンザイシロアリという従来日本に生息していなかったシロアリによる住宅部材の被害が増えている。シロアリは、日光や乾燥を嫌うため木材内部を食害し、外層を残すので発見しにくいが、被害部位は外からたたけば空洞音がするので分かる。シロアリは分類上ゴキブリに近い(※)が、その名のとおり白いアリの形状をしている。アリとの識別は、4~7月に発生する羽根アリの羽根で識別できる。左右2対の羽根が同じ長さであればシロアリであり、長短2対の羽根であればアリである。また、アリは胴がくびれているが、シロアリはずん胴である。2)木材腐朽菌の種類①白色腐朽菌主として木材中のリグニンが分解されて、腐朽材が白色になる。広葉樹の腐朽に多い。(カワラタケ、ヒイロタケ、シイタケなど)②褐色腐朽菌主として木材中のセルロースが分解されて、リグニンが残り褐色となる。針葉樹の腐朽に多い。(オオウズラタケ、ナミダタケ、イドタケ、サルノコシカケなど)③軟腐朽菌担子菌ではなく、子のう菌、不完全菌に属するもので、腐朽力は担子菌に比較して弱い。水分が多くて酸素の極めて少ない木材に繁殖し、被害表面がスポンジのように柔らかくなることが多いため軟腐朽菌と呼ばれている。シロアリアリ図2ー1シロアリの形態(しろあり詳説より)※シロアリはゴキブリ目シロアリ科に属する。250木材の知識