ブックタイトルザイエンス景観・公園施設カタログ1214版

概要

ザイエンス景観・公園施設カタログ1214版

4.7保存処理木材の安全性保存処理木材は薬剤を使用しているため、環境や生物、廃棄方法について安全性が求められる。また、近年では住宅室内の空気の「質」が、シックハウス症候群や化学物質過敏症等、人体に影響を与えると考えられており、社会的関心が非常に高くなっている。室内空気の「質」悪化の原因としては、「VOC」が関連していると考えられている。1)VOCとは何かWHO(世界保健機構)の分類を用いた場合、沸点が50から260℃付近のものをVOC(Volatile Organic Compounds-揮発性有機化合物-)と定義しているが、広い意味で揮発しやすい有機化合物の総称をVOCと呼ぶこともある。広い意味でのVOCとしては、多くの化合物類が該当することになるが、室内環境で問題になるVOCだけでも100種類以上存在する。建材や家具だけでなく、炊事や排泄時のガス、タバコ、家庭用殺虫剤などもVOCの発生原因となるため、基本的には人間が生活すると必ずVOCが発生するといえる。2)VOCに関連する法律・基準種類の多いVOC類の中から、安全性に疑問のあるものや、検出頻度が高いものを選び、基準を設ける動きが活発になってきた。VOCに関連する法律と基準を次に示す。ただし、これらの法律はすべて室内環境が対象となっており、屋外は対象外である。[建築基準法]2002年7月に改正建築基準法が公布され、その中で(1)ホルムアルデヒド、(2)クロルピリホスの2物質が規制対象となった。ホルムアルデヒドは、放散量(又は発散量)によって使用できる材料の量を制限する方法が取られている。また、クロルピリホスは、全面使用禁止となった。[品確法]2004年4月追加分の「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」の空気環境に関する性能表示(室内空気中の化学物質の濃度等)において、(1)ホルムアルデヒド(2)トルエン(3)キシレン(4)エチルベンゼン(5)スチレンの5物質が対象物質として定められた。(ホルムアルデヒド以外は、任意測定)「学校環境衛生の基準」文部科学省で制定された基準で、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼンの6物質が対象となっている。放散量の値は、室内濃度指針値を採用している。4木材の保存処理■ザイエンスの保存処理木材の安全性人や動物に対して〉ペンタキュアECO30原液およびタナリスCY原液の毒性は、動物実験の一例では食塩と大差が無い程度の安全なものです。(※)さらに、実際に処理する時にはペンタキュアECO30は15~20倍、タナリスCYは30~60倍に水で薄めて木材に注入します。注入された薬剤の成分はほとんど溶脱しないので危険性はありません。実際に、長い期間遊具などに使用された処理木材が、人や動物に対して悪影響を及ぼした事例はありません。※それぞれの原体のLD50(半数致死量)からの換算による人の健康の保護に関する環境基準〉環境省の水質汚濁に関わる環境基準の中で「人の健康の保護に関する環境基準」に規定されている下記成分は、使用しておりません。カドミウム、全シアン、鉛、六価クロム、砒素、総水銀、アルキル水銀、PCB、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレン、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ふっ素、ほう素、1,4-ジオキサン植物に対して〉保存処理木材で作製した育苗箱の中で、｢みの早稲大根｣を栽培し、生育に問題がないことを確認しています。また、農業用ビニールハウスでの使用実績からも安全性が証明されています。実績的にも、保存処理木材は花壇やフラワーポットなどに使用され、植物に対しての影響で問題を生じたことはありません。魚類に対して〉河川整備の構造物として数多くの実績があり、魚類への悪影響が出たことはありません。廃棄について〉有害な金属を含まず燃焼により有害なガスも発生しませんので、通常の木材と同様に焼却処分できます。VOCについて〉VOC関連で規制されているクロルピリホス、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンおよびアセトアルデヒドを使用していません。木材の知識261