1. 木材保存の意義(木材保存処理の詳細は木材保存剤の種類/特徴に掲載)

木材は、二酸化炭素の貯蔵庫とも言われ、製品を製造する時のエネルギー消費が少なく、環境に優しい資材です。しかし、何も手を加えない素材の木材は、高温多湿な環境で使用すると3~4年で腐朽やシロアリの被害を受け、木材が分解されることによって二酸化炭素を放出してしまいます。木材保存処理により木材の耐久性を上げ、長く使うことによって、森林の伐採と育成に適切な循環を作り出し、地球温暖化の防止に貢献していくことにつながっていきます。

2. 木材の性質を知る

(1) 寸法変化

原木を伐採し製材したばかりの生材は水分を多く含んでいます。木材の乾燥が進むと、やがて細胞壁に結合して木材を膨脹させている水分も蒸発し、蒸発した水分の量に比例して木材は収縮します。
また、木材は切り出した部位や方向によって、収縮率が異なる性質を持っているため、乾燥によって収縮による寸法変化を生じ、それに伴って変形や割れを引き起こします。
製材品は商慣習上、製材直後(挽き立て)の寸法を表示して流通している場合が多いため、製材品を実際に使用する場面において、乾燥や収縮によって表示寸法を満たしていない場合があります。また加工時に寸法精度良く作製しても、その後の使用環境により木材の水分に変化が起こった場合、精度に狂いが出る場合もあります。
  ※当社ではニーズに合わせて寸法制度に優れた製品を取り揃えています。

(2) 乾燥割れ

屋外に設置された木材では、降雨等による湿潤と好天候による過乾燥の繰返しにより割れが更に助長されることがあります。

3. 劣化の原因を知る

(1)腐朽による劣化

木材の経時的な劣化で、強度低下や破損などを起こす主な原因は腐朽によるもので、木材腐朽菌が木材を栄養源として繁殖することによって腐朽が進行します。多くの木材腐朽菌はサルノコシカケやシイタケと同じキノコ類(担子菌)に分類され、さらに腐朽の様子から白色腐朽菌、褐色腐朽菌、軟腐朽菌の3つに分けられます。

  • 白色腐朽菌:主として木材中のリグニンが分解されて、セルロースが残り腐朽材が白色になる。広葉樹の腐朽に多い。
  • 褐色腐朽菌:主として木材中のセルロースが分解されて、リグニンが残り褐色となる。針葉樹の腐朽に多い。
  • 軟腐朽菌 :担子菌ではなく、子のう菌、不完全菌に属するもので、腐朽力は担子菌に比較して弱い。水分が多くて酸素の少ない環境に設置された木材に生育し、被害表面がスポンジのように柔らかくなることが多いため、軟腐朽菌と呼ばれている。

また、木材腐朽菌の繁殖条件は次の4つが挙げられます。逆説的には、これらの条件のどれか1つでも完全に断てば木材の腐朽は起こらず、これが木材を長持ちさせるポイントです。

  • 栄養源としての木材:菌は木材の成分を分解し、エネルギーとして利用している。
  • 生理活性を助ける水:一般に木材含水率が50%~100%において活性は最大となる。25%以下で発育が停止する。
  • 生育のための酸素:木材腐朽菌は多くが好気性菌であり、生育には酸素を必要とする。
  • 生育に適した温度:低温菌(24℃以下)から高温菌(32℃以上)まで様々な温度を好む菌があるが、人間が快適な温度は多くの菌の生育に適した温度である。

(2) シロアリ、害虫による劣化(詳細はシロアリの知識に掲載)

木材の害虫による被害はシロアリによるものがほとんどです。日本で多く被害をもたらしているシロアリの種類は、主にイエシロアリとヤマトシロアリの2種であり、一般に含水率が30%以上の木材を好んで食害します。特にヤマトシロアリは、生息に適する条件が腐朽菌と類似するため、食害と腐朽が同時進行する場合が多くあります。近年では、アメリカカンザイシロアリという従来日本に生息していなかった外来種による住宅部材の被害が増えています。
また、ラワンなどの広葉樹は、ヒラタキクイムシのような乾材害虫の食害を受ける可能性がありますが、部材単位や部分的な被害に留まり、施設を倒壊させたりするような例はほとんどありません。

(3) カビによる劣化

カビは木材の組織中には深く浸透せず、湿った木材の表面の木材抽出成分(ヤニ)等を栄養源として成長します。黒色、緑色、紅色、黄色の様々な種類があり、木材組織を腐朽させることはなく、表面が乾燥すれば活動を停止します。
ただし、着色した菌糸はそのまま残るので表面は汚れたままになり、製品美観を損ないます。
対策としては木材を乾燥した状態にし通風を良くすることや、事前及び定期的に防カビ剤もしくは防カビ剤入り塗料を塗布します。

(4) その他の劣化現象

木材は酸、アルカリ、酸化剤等の化学物質により変色・変質することがありますが、通常の使用状況で問題になることはあまり多くありません。
問題になるのは、光と風雨による劣化、いわゆる風化です。
日光、風雨にさらされた木材は、徐々に灰白色化し、腐朽が伴わなければ、表面の劣化が徐々に進行します。屋外使用の製品で初期の外観をできるだけ保つためには、塗装等の定期的なメンテナンスが必要です。